「ミルシート(製品検査証明書)」は
現場に搬入された鉄筋の物ではなかった?!

「ミルシート」とは鉄鋼メーカーが製造結果が指定された規格などの要求事項を満たしている事を証明する書類です
正式には「鋼材検査証明書」と言い、内容は商品名、証明書番号の他、引張試験値や化学成分等の記載があります


□ミルシートは鉄筋の「戸籍」

「ミルシート」は鋼材の製造結果が指定された規格かどうかを知る、重要な書類で、正式には「鋼材検査証明書」
(Inspection Certifcate)、または、「検査証明書」とか言います。

内容は、商社名/需要家名、契約番号、商品名、証明書番号などの一般事項のほか、寸法、員数、質量、検査
番号、めっき量(表面処理品の場合)、引張試験値(引張り強さ、降伏点、伸びなど)、化学成分(5元素 C,Si,Mn,
P,S)などの製造実績値が記載されています(図1)。

拙宅に搬入された“鉄筋はこれに間違いない”と、巨匠・菊間建築士が私に手渡したミルシートは、基礎工事を担当
した杉浦建設の現場担当者である、濱野朗から回って来たと、言っていました。


図1 この「ミルシート」は、拙宅に搬入された「鉄筋」の物と巨匠は言う



規格の無い鉄板は鉄屑であり、鉄鋼メーカーが規格を証明する唯一の証明書が「ミルシート」である以上、当然、
受注企業(販売企業)は受注先企業(販売先企業)に対して、ミルシートの提出義務が生じます。

実際の流通現場では、1級品、2級品、相当品等々と鋼材のランク付けがされていますが、大別すれば鉄鋼メーカ
ー(新日鐵等の鉄鋼製造企業)が規格保証を行うミルシート付き材料か、ミルシートが無い材料のどちらかです。

一級品は一般材と言われる材料でも一般規格(SPHC、SPCC-SD等)の規格品であり、当然ミルシートは発行され
ます。

ちょうど、拙宅の工事を進めている頃、建設業界では、平成18年に7月に大きく報道された、「エレベーターの強度
不足問題」の検証報告が国交省よりありました(フジテック(株)が製造したエレベーター及びエスカレーターの
部材の一部に、本来使用することを予定していた鋼材よりも強度の低い鋼材が使用されていた
」)。

近代建築の発展は、鉄の大量生産によって築かれてきたと言っても過言ではありません。高層のビルはほとんど
がこの鋼材を使って建てられていまし、もちろん、個人住宅にもふんだんに利用されています。

使われる鉄筋の品質が確かなものなのか、又どのようにしてその品質が保たれているのか――。

「食の安全や品質の問題」が社会問題にもなって久しいですが、スーパーに行くと「○○産、生産者××」と、必ず、
表記してあります。鋼材でも同じことが言えるのです。

「ミルシート」が出ないものについては無規格品とし化学成分値および材質試験値が保証されておらず、品質の
ばらつきが大きいと考えられるので、主要構造部材には使用しないものとされています。

余談ですが、これらの規格を定めているのが世界でも有数の厳しい規格といわれている、JIS(日本工業規格)です。
建築鋼材だけでなく工業製品の様々な規格が決められています。

「ミルシート」は、骨組みとなる鉄筋の「戸籍」と言っても、過言では無いでしょう。

私は「菊間・佐藤事件」に関連した業者の事を信じられないため、杉浦建設から巨匠に渡ったという、「ミルシート」を
調べる事にしました。

調べるうちに、「伊東の業者」の信じられない事実がまたしても、浮き彫りにされたのです。


□「ミルシート」にある鉄筋は現場に搬入の事実無し!

巨匠・菊間建築士が杉浦建設・濱野朗から手渡されたという、ミルシートには、しっかり、表紙が付けられてい
ました(図2)。

さすがに戸籍と同じと言うだけあり、“重厚”な感じがします。

図2 「ミルシート」には、立派な表紙が付けられているが、日付以外は全て「空白」。これは一体、何を
   物語るのか


私は「表紙」に書かれた鋼材商社に連絡を入れてみました。この鋼材商社は私たちに大変、協力的でした。
鋼材商社の方との電話でのやりとりをお聞き下さい(2分54秒)。

この録音テープを聞くと、杉浦建設の濱野朗が巨匠・菊間建築士に手渡した「ミルシート」は、一体、どこから
入手してきたものか。また、拙宅に搬入された「鉄筋」の品質に対しての、疑いも出てきました。

               『搬入された「鉄筋」は一体、どこから』

                


図3は、拙宅に搬入したとされる鉄筋の「ミルシート」です。シート本体自体には、何ら問題がなさそうですが、
鋼材商社では杉浦建設へは納入していないと聞かされ、一層、「伊東の業者」に対して疑問は深まります。


図3 拙宅に運ばれたと言う、 「D10」、「D13」のミルシート。しかし、杉浦建設への納入実績が無い「鉄筋」の
   物と判明した。「○S」の印がおされた「鉄筋」を搬入していたそうです(笑)




図4をご覧下さい。巨匠が伊東市役所に提出した「工事管理計画届」の一部分です。この書類には『確認を行う部位材
料の種類等』という項目があります。「コンクリート、鉄筋」の照合方法には“ミルシートによる書類審査”と書かれていま
す(赤ライン部分)。


図4 「建築基準法」で「鉄筋」は、現場において「ミルシート」により書類審査が義務付けられている



杉浦建設に搬入した事実が無い「鉄筋」で工事が行われ(?)、入手経路は不明の「ミルシート」により(?)、書類審査を
実施した事になってしまいます。

鋼材商社では、一年ほど杉浦建設に対して納入の事実はないと言います――。

しかし、巨匠は「ミルシート」は杉浦建設の濱野朗から受け取ったと言います。これは、どの様に解釈すれば良いの
でしょうか。

なお、「工事監理届」は「建築基準法」で、定められた行為の一つです。

私は「伊東建設業協同組合」が絡んでるのでは、と思い、改めて鋼材商社に連絡を入れてみました。
そこで交わされた会話から、同組合の関与は今のところなさそうですが、ますます、拙宅に使われた
「鉄筋」の品質と「ミルシート」の入手先は“闇の中”へと、誘われる結果となったのです(5分5秒)。


               『深まる謎 入手先不明の「ミルシート」』

                 

今後、杉浦建設は、「鉄筋」をどこから仕入れたか。また、同社の濱野朗が巨匠に手渡した「ミルシート」の
入手先も、解明が進むと思います。

ある建築会社は、「現場に搬入される鉄筋には、このような“タグ”がふつう付いているよ」と、教えてくれ
ました(写5)。

当然、拙宅に搬入された「鉄筋」には、一枚も“タグ”は付いていませんでした――。


写5 この様な“タグ”が鉄筋には、ふつうに付いているという



それにしても、建築主に不安をあおる業者が、のうのうと生活の出来る「伊東市」は、本当に素晴らしい“まち”だと
私は思います。


*サイト内では、敬称を略しました。


 


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